製品紹介-3:超高圧実験器具

学習用セル・SEED(シード)


え!? 常温で水から「氷」が作れる・・・? しかも簡単に。
それって一体どういう事?

シンテックは岡山理科大学・理学部(高圧科学)の森嘉久教授と共同で、
子供でも簡単に超高圧の世界を観察できる実験装置を開発しました。

この学習用セル「SEED (シード) 」を用いれば、約1万気圧の環境下で常温の水が凍る様子を観察できます。
通常のダイヤモンドアンビルセルとは異なり、実験の準備も5分程度で済みます。
状態はリアルタイムで、お手持ちのパソコンモニターにて確認可能です。

すでにご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、
水は、圧力を上げると分子の密度が高まり一瞬で固形化します。
これを自ら握るハンドルの圧力の微調整によって、形と向きがバラバラな多結晶や菱形の単結晶に変えられるのです!
めくるめく変化する様子が分かり、どなたでも楽しみながら氷の世界にドップリ浸かれます。

ご興味のある方には出張でデモンストレーションも行いますので、お気軽にお声掛けください。
※現時点ではデモは日本国内に限ります。
最近では小・中・高等学校から出張講義の依頼も少しずつ増えており
理科離れが叫ばれる中、今後の盛り返しに一役買えればと密かに願っている次第です。

ご自身の手で大きな結晶を作り、アカルイミライへつなげましょう!

※シードの動画です。熱き昂ぶりが凍るやもしれません

より詳しい情報はこちらからどうぞ

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ダイヤモンドアンビルセル


Diamond Anvil Cellの頭文字を取ってDACとも呼ばれています。※以下DACと称します。
天然または人工合成のダイヤモンドを使って超高圧を実現するもので、
小型(手のひらサイズ)で、透明(光学的な観測が可能)であり、
サブテラパスカル(数百万気圧、数百GPa)までの加圧を可能とする装置の事を指します。

DACで高圧を発生させるためには、まずダイヤモンドアンビルのキュレット(先端面)同士が一致するか
また、同心円上でかつ平行でなければなりません。
そのためDACには台座の位置と平行度を調整する機構が必要となります。
さらに実際の高圧実験でDACが置かれる環境は、冷やされたり温められたり磁場中であったり、
測定も顕微鏡観察、X線回折、各種分光等、非常に多岐に渡っています。
従ってお客様のご要望に応え得る品質のDACのデザインや製作は予想以上になかなか大変なものです。

シンテックでは、これまでの多品種製作から培ったノウハウを活かして、
様々なダイヤモンドアンビルセルを製造販売しています。
上記の説明からお感じになった方もいらっしゃるかも分かりませんが、
これらのダイヤモンドアンビルセルには、いわゆる標準品といわれる規格品はありません。
全てお客様からのリクエストによって一品一様の設計・製造を行っています。
すなわち、お客様が実際に使用する環境、実験内容、周辺機器との兼ね合い、セル形状等
それぞれの状況に適した、使い勝手の良いダイヤモンドアンビルセルの製作が可能です。

※セルや多結晶のダイヤモンドアンビルも製造しております。


セルのタイプ


時計型、箱型、レバー(クジラ)型、ピストンシリンダー型、メリルバセット型、
加えてガス駆動型等のセルが主なセルの種類となります。
基本的な設計内容は弊社に用意してありますので、上記以外のタイプでも
お客様の具体的な実験内容や外形寸法等おおまかなイメージをお聞かせ頂ければ、
そのご要望に対して基本形をアレンジしながら最適なセルの提案をさせて頂く事も可能です。

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ダイヤモンドアンビル

シンテックでは、超高圧分野において心臓部となるダイヤモンドアンビルを製造しています。
このダイヤモンドアンビルは宝石用語で『キュレット』と呼ばれる先端部を研磨して、
直径10μm~1mm程度の微小な平面を持たせたもので、この平面を対向させてその間に試料を挟み
荷重を加えることで圧力を発生させます。

DAC(ダイヤモンドアンビルセル)を使った高圧実験において、ダイヤモンドアンビルに求められるのは
想定する目的の圧力(最高到達圧力)まで破壊しがたいこと、そして試料の物性測定に邪魔になるような
ダイヤモンド結晶の欠陥等がない事だと考えられます。

それでは、どうすれば破壊し難いダイヤモンドアンビルを作る事ができるのでしょう?
まず第一に極端な傷やゆがみのあるダイヤモンドを排除しなければなりません。
これは、ヨーロッパに行って宝飾用の品質の高い原石を直接入手する事によって対応しています。
これに加えて、安定した高圧を発生させるには、ダイヤモンドアンビルの研磨面、
(前述しましたが)キュレット面のスクラッチ形状や加工精度も大変重要になります。
特に60~100GPaを超える圧力ではダイヤモンドの弾性変形が大きくなり、
形状の精度が発生圧力を左右すると考えれらています。

シンテックではキュレット形状の寸法公差を厳しく定め、お客様に高品質の製品をご提供しています。
従来、超高圧の限界は、アメリカのカーネギー研究所の300ギガパスカルではないかと言われていましたが、
シンテック製のダイヤモンドアンビルを使用した実験では、水素が金属化するという350~420ギガという
目標を達成する所まで到達しています。
現在も更に高品質、高精度な加工が要求されており、日々ダイヤモンドアンビルの品質の向上に努めています。

また、新しい製品ラインナップとして、高品質高精度なSHアンビルとリーズナブルなシリーズがそれぞれ加わりました。
実験の用途に合わせて使い分けて頂けると思いますので、こちらも併せてご覧下さい。

高品質・高精度なSHアンビル

お求めやすい新シリーズ

ダイヤモンドアンビル

上の写真は、ダイヤモンドアンビルセルの中に入れて実際に使用するダイヤモンドです。
馴染みがないかもしれませんが、超高圧の実験には欠かせないもので、
昨今では数百ギガパスカル領域の実験が進み、更に高品質、高精度な加工が要求されています。

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シンテック製ダイヤモンドアンビルの特徴


A. 国内自社生産
自社でダイヤモンドの原石の調達から研磨加工まで行っております。
そのため、実際にダイヤモンドアンビルを使用されるお客様の細かなご要望に
的確かつ迅速にお応えする事が可能です。
シンテック製ダイヤモンドアンビルの主なメリットとして、下記の3点が挙げられます。
①幅広い仕様に関する柔軟な対応
②実験に合わせた納期対応
③従来品からのコストダウン

B. 品質
過酷な条件で使用されるダイヤモンドアンビルにおいては、ご存じの通り品質が重要な点となります。
シンテック製のダイヤモンドアンビルは、寸法精度・面精度・平行精度・検査、特にカッティッング精度に重きを置いており、
全てにおいて世界最高の水準と言っても過言ではありません。

C. 製作
下記のサイズが製作可能です。
・ガードル径:約φ2.5~φ4.0mm
・高さ:約0.7~2.5mm
・キュレット径:最小φ0.010mm
※組み合わせによって若干制限される事もありますので、詳細はお問い合わせ下さい。

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AST / アンビル・セッティング・ツール



文字通りアンビルを設置する際にサポートする工具です。
技術のある人は上手にセットできると思いますが、すべての研究者がそうとも限りません。
上手く行かないとイライラする事もしばしば。
そんな小さなストレスを軽減し、研究に没入してもらうため開発されたのがこちらの品です!

ガスケット


ガスケットも圧力発生装置としてのDACに不可欠な要素です。
真ん中に小さな穴があいている薄いプレートをイメージして下さい。
これをガスケットと呼び、ダイヤモンドアンビルのキュレット面に挟み、穴(試料室)に試料を入れます。

この試料室の体積が荷重の上昇に合わせて縮小して行く事で、高圧の環境を得ています。
そのためガスケットの材質として強靭な金属が使われています。
荷重の上昇に伴い、キュレットに挟まれたガスケット部分は塑性変化を起こし、潰れるように周辺に流れて行きます。
この流れ方や試料室の変形量は、キュレットの形状やガスケットの材質によって違ってきますので、
高圧実験には大切なパラメーターのひとつになります。
テーマや研究者によって様々な材質が試されていますが、一般的に高圧実験ではSUS合金やレニウムが
多く用いられているようです。

ガスケットでの試料室の圧力を保持するには、ガスケットの幅を均等に保つ事が必要です。
しかし、加圧中にガスケットの変形はコントロールできないため、試料室となる小さな穴は
できるだけキュレット面の中心に設定する事が望ましいと考えられています。
シンテックではこの要求に応えるため、位置補正用顕微鏡付きの細穴放電加工機を開発しました。
この装置により、最小径が5μmの穴を高い位置精度であける事が可能となっています。

φ0.2mmドリル加工 φ0.2mm放電加工
φ0.2mmドリル加工穴 φ0.2mm放電加工穴

周辺機器


加圧用治具、受け台、微小試料片、その他治工具類等
それぞれの実験に合わせて、お客様の用途に1番見合う製品を用意できると思いますので、
どうぞ遠慮なく忌憚のないご意見を!


焼結体ダイヤモンドアンビル/cBNアンビル


シンテックでは焼結ダイヤモンドやcBNのアンビル製作も行っています。

 

焼結体アンビル 焼結体アンビル2
焼結体ダイヤモンドアンビル


その他の製品


超高圧関連以外にも様々な分野のお客様とお付き合いのあるシンテックでは
これまでの経験から得た技術、また独自に開発した加工方法を応用して、
色々な分野渡る加工に関する要求にお応えすべく、日々研究を積み重ね努力しております。
・ダイヤモンドアンビルのキュレット面への凹加工
・試料片の製作(φ10μ~)
・マイクロコリメーターの製作(φ10μ)
・ガスケットの高精度穴あけ加工(プレコンプレッション後の位置決めも可能です。)
・ダイヤモンドウインドウの製作
・パイロフェライトやマグネシア等の加工
・超硬合金、Cu-Be、セラミックス等、超高圧実験には欠かせない材料加工

hekomi gas-hole diahyoushi
キュレット凹凸 ガスケット穴φ0.03(材質Re) ダイヤモンドウインドウ

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